何かをのみ込んだり、アイロンでやけどをするなどの小さな事故は、子供を育てている間には、誰もが経験することでしょう。実は、1歳から14歳までの子供の、死亡原因の第1位を事故が占めていることは、案外知られていません。成長のそれぞれの段階で起こりやすい事故があります。そのことを知って、ぜひ身の回りの危険に注意しましょう。
生まれて間もないころは、布団やまくらが鼻や口にかぶさって窒息することがあります。柔らかい布団にうつ伏せ寝させることは危険です。早い子は3カ月から寝返りをうちます。まだ大丈夫とうっかりしていると、ベッドから転がり落ちてけがをします。いくら小さくても、離れるときは必ずさくをしましょう。はいはいをするようになると、階段から落ちる事故が起きるので、さくを付けて、一人で上がり下りできないようにしましょう。
はいはいや、つかまり立ちを始めた赤ちゃんは、畳の上やテーブルに置いてある物を取って、何でも口に入れます。32ミリ以下の大きさの物はのみ込んでしまいますから、手の届くところに置いてはいけません。誤っておもちゃや、コインをのみ込んでも、便に出てきますが、たばこはニコチン中毒で生命が危なくなりかねません。禁煙が浸透しつつある時代なのに、私の所にかかってくる電話の数からすると、まだ家庭はその圏外のようです。のみ込んでしまったら、指を入れて吐かせるか、病院で胃洗浄をする必要があります。
口に入れたピーナッツやおもちゃが、気管につまると窒息します。赤ちゃんでは下向きに抱えて、背中をドンドンたたき、幼児は後ろから抱きかかえて、みぞおちをぐっと押すと、吐かせられる場合もあります。
4歳以下の水の事故は、プールや川でではなく、家庭のおふろ場で起こっています。お母さんが目を離しているすきに、浴槽の水で遊ぼうとして、過って落ちて死亡するケースが多いのです。また、熱湯では重いやけどになります。おふろのお湯は沸かし過ぎないように、ドアはかぎをかけて、子供が自分で入れないようにしてください。
交通事故は、どの年齢でも起こります。車に乗る時はひざに子供を抱かずに、必ずチャイルドシートに座らせます。また、自動車内の温度は、短時間に60度にまで上昇します。どの季節でも子供だけを車内に残すことはやめましょう。